ねえ、年末になるとどうして第九がたくさん演奏されるの?
それはね、ベートーベンの交響曲が第9番までだからよ。
一年の最後だから、最後の交響曲が演奏されるの。
母の授けた答えに何の疑問も持たず信じ続けてきた彼女が真相を知ったのは、それから10年も後のことだった。
その愉快な母と娘の歳月を、もしかしたら、いつもは気難しい顔ばかりのベートーヴェンが苦笑いしながら眺めていたかもしれない。どこかずーっと遠くの「晴れたる青空」の上あたりで。
さて、さらに時は遡って戦後の混乱期。
食糧難、厳しい時代のさなかのこと、楽団員たちは年越しの資金を調達するための演奏会を開くことになる。その演目に「第九」が選ばれたのは、すでに人気が定着していた曲であり、充分な集客が期待できるとされたためという。しかも合唱団員も数多く出演するこの曲なら、その家族や友人たちがチケットを買い聴きに来てくれるので収入も確実に保証されるはず。
そしてこの名曲は期待に違わぬ結果をもたらした。やがてそのままそれが慣例化されて今の時代まで受け継がれてきたという。プロ・アマ問わず年末になると「第九」が演奏されるのは、どうやらこの話が始まりだったようだ。
日本人による「第九」の初演は、1927年11月29日。まだ前年の関東大震災の災禍も癒えぬ東京で、高らかに歌い上げられる歓喜の歌は、どれほど多くの聴衆の心に響き渡ったことだろう。
さて、
母の教えが真であったなら、年明けにはさぞあちらこちらで明るく軽快な「第一番」が演奏されていたはずなのだが・・・
※年末に「第九」が演奏される理由として、第二次大戦後、生還した音大生たちが戦死した仲間への追悼として演奏したのが始まり、という説もある。
「第九」初演の日に因んで、本日の素材はこんなアニメーション画像です。
「歓喜の歌」というより聖歌を歌う少女たちの風情といったところですが…
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