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12月5日（月）
クリスマスに飲む一杯
～ ゲスト寄稿：ミズシーさま ～
西麻布に十数年続いているＢＡＲ「Ｌ」がある。
残念ながらビル老朽化のため今年一杯で店を閉めてしまうのだが、オレンジ色の淡い照明が疲れた心を癒してくれる西麻布でも老舗のＢＡＲである。
クリスマスに因んだお酒を探してみたいと思い店の扉を開いてみると、店内は週末のため随分と込み合っていた。
私は促されるままにカウンターに座ると、隣の女性はバーテンダーとのこと。そこで、私は先程の疑問を聞いていみることにした。
「クリスマスに因んだお酒、例えばクリスマスのカクテルってありますか。」
「うーん、カクテルはないと思いますよ。あえて言えばシャンパンカクテルでしょうか。」
確かにクリスマスの名前を冠したカクテルは聞いたことがなかった（どちらかの店でオリジナルカクテルがあるかも知れませんが、その点ご了承下さい）ので、ある程度予想できる答えだった。
私もまず思い浮かべるのは、ワインやシャンパンである。
女性バーテンダーと同じく私もお薦めはシャンパン。
美しい琥珀色に、立ち昇る一筋の泡。
世の中にはたくさんのお酒があるが、シャンパンの持つゴージャス感にはなかなか敵わないと思う。
シャンパンに限らずスパークリングワインには様々な種類がある。例えば、スペインのカヴァなどとても良いお酒だし、好みに合わせて選ばれるといいと思う。
群馬県前橋市に８０年代のニューヨークを思わせるスタイリッシュなＢＡＲがあった。
残念ながら店が閉まってもう１年以上経つのだが、私にとっては忘れることのできない素晴らしいお店だった。
その店では１２月になると必ず店先にスノーマンの照明を置いていた。その照明を見るとクリスマスの時期に近づいたことを感じたものである。
もてない男女三人で肩を寄せ合うようにしてカクテルを飲んだクリスマス・イブの夜も、また忘れられない思い出である。
その時、私が飲んでいたカクテルは「ブルームーン」だったと思う。
青い月はありえないことから「できない相談」、使われているバイオレットリキュールは「永遠の愛」。
「永遠の愛などできない相談」と読み解くのは私の穿った見方であろうか。
クリスマスのカップルには少しシニカル過ぎるかもしれない。
男女ともに恋をすると小さな嘘をつく。
結果的に嘘になってしまっても、その瞬間は純粋な思いから「永遠の愛」を誓う二人もいるだろう。
確かに、思いを込めた言葉も時間が経つうちに風化してしまうことがある。
それでも、誓いの言葉が決して嘘にはならないように、努力をすることこそが「愛情」なのかもしれない。
「醒めない夢はない。」と人は言う。だが、たった一つの言葉がささやかな夢が生涯を支えることもある。
聖夜に誓った二人の夢が「永遠」に続くこともあるのだ。
「醒めない夢」もあるに違いない。
この時期ＢＡＲもクリスマスソングをかける店がある。
定番と言えばJohn Lennon [Happy Xmas]だろうか。
「弱い人たち、強い人たち…肌の色が黒い人たち、白い人たち、黄色い人たち、赤い人たち さあ、この辺で戦争はやめようじゃないか。」
ジョンの夢は未だ叶っていない。
純粋に夢を見られなくなってどのくらい経つのだろう？
サンタを信じられなくなったのはいつの時からだろう？
いやそんなことは無いのだ、私たちは大人になっても夢を見ている。
取るに足らないささやかな夢や希望かもしれないが、誰もが胸に抱いて生きている。
そんな人たちにクリスマスは小さな奇跡を起こしてくれる。
夢を叶えるサンタはきっといるに違いない。
きっとあなたのすぐ側に。
今年のクリスマスが皆さんにとって最高のひと時になることを祈ります。
（ゲスト寄稿：ミズシーさま）
ミズシー氏は、SNS「mixi」をご活躍の場に、お酒のお話はもちろん、映画、音楽、絵画など幅広い題材で、ウィットに富んだ日記を楽しませてくださいます。今回は当企画のためにゲスト執筆を快くお引き受けくださいました。
ミズシーさん、大人のクリスマスといった雰囲気あるストーリーをありがとう！
サンタさんを信じて待てる時代も楽しいけれど、やがて訪れるあなたご自身がサンタさんになる時代は、きっと人生の中で最も貴重で幸せな日々ですよ。まずはステキなパルフェ・ラムールに出会えますように…
「第二の故郷の母」Fumikoより(^^)
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