12月22日(木)

幻のワイン

〜ゲスト寄稿:アイーマさま〜


クリスマスの本場ドイツでは、この時季、『グリューワイン』という飲み物が屋台で出回るらしい。名前だけ聞くとどこかの産地銘柄のようだが、なんてことはない赤ワインにスパイスや柑橘類を加えて温めた冬の飲み物ということだから、さしずめ日本では甘酒か卵酒といったところか。

『グリューワイン』は、私にとってどこか特別の響きを持つ飲み物だ。

10年近く前、大好きだった漫画に出てくる街が舞台だったから、という安直な理由で購入した宮本輝氏の小説『ドナウの旅人』を片手に私はドイツ・バイエルン地方を旅していた。
折しも季節は冬、小説に媚薬のような小道具として登場していた『グリューワイン』にありつけるのではないか。そんな異国情緒溢れる飲み物に、憧れとロマンスにも似た期待を込めて。
しかし、残念ながら当時のわたしは『グリューワイン』を見つけだすことができなかった。 数年後、再び同じ時季にドイツを旅したが、やはりその時も見つけられなかった。もっともその時はワインよりも地ビールの開拓に余念がなかったためでもあるが。
『グリューワイン』は冬の飲み物というよりクリスマスシーズン限定の飲み物だったのだろうか。結局、それは幻の飲み物となってしまった。


さて、先日上京した折に、コレド日本橋の一角でワインジャムなるものを見つけた。ドイツワインではなかったが、かつて旅したことのあるフランス・ランドック=ルシヨン地方原産のワインを煮詰めて仕上げたジャムだという。料理の隠し味としてはもちろん、温かいお湯で割ってホットワインとしても美味しいらしい。


あれから何年も経ったというのに、自分の食べ物(飲み物)に対する執着ときたら呆れるばかりである。行きたかった場所、行きたかった街、旅そのものへの執着はとっくにぼやけてしまったくせに、ホットワインと聞くと途端に幻の『グリューワイン』を連想してしまうのだから。
いや、もしかしたら食べ物が旅の記憶を鮮やかに蘇えらせるからこそ、こうしてこだわってしまうのかもしれない。


かくなる上は、当面はワインジャムのお湯割りで『グリューワイン』への執着を宥めることとしようか。
いつの日か敬愛する我らが館長殿と、ドイツ・クリスマス旅行をご一緒する日が来るまで。







本日は冬至です。アイーマさんのご寄稿第2弾は、寒い夜に心惹かれるグリューワインのお話でした。

アイーマさん、あなたのエスコートで本場ドイツのクリスマスを味わえる日を、私はホントに楽しみにしていますよ。その時はぜひ温かいグリューワインで乾杯とまいりましょう!
というわけで本日の素材は『聖ペテルス印・グリューワイン』限定ボトルでございます(^^)。ホントに今年あたりサンタさんがあなたのお家に幻のワインを届けてくださったら良いのだけれど…
館長 Fumiko






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