12月の誕生石は美しいブルーグリーンの宝石、ターコイズ。別名の「トルコ石」とは、昔トルコ商人の手によって流通したことが由来だそうです。滑らかで均一な艶を持った石も素敵ですが、黒やグレーなどの内包物が柄のように見えるものは天然石の証。いにしえの男たちが魔よけやお守りとして戦闘に向かうときに身につけたという言い伝えをしのばせる、ワイルドな趣があります。
私の母は12月生まれで、父が婚約の時に贈ったというこの石の指輪を持っていました。シンプルな指輪とネックレスくらいしか入っていなかった母の宝石箱の中で、幼かった私の目には、その指輪はひときわ豪華に映りました。ですから初めて知った宝石の名前が「トルコ石」。母と同じ12月生まれの姉は、この指輪は私がもらうのよ、と、少し意地悪に私に言ったものでした。
でも、今その指輪は私の家にあります。なにしろ昭和30年代に平凡なサラリーマンが買った指輪ですから決して高価なものではありません。子供心に「すごい宝石」だと思っていた指輪は、大人になって現実を知ればさしたる価値もないもの。しかもデザインはすっかり時代遅れ。母がもう自分には派手だから…と言いだした時、子どもの頃はあれほど主張していた「相続権」を姉が放棄したので、私がもらっておきました。私の娘もまた12月生まれなのです。ものがあふれる時代に生きる現代っ子の目には、時代遅れの指輪など「すごい宝石」には映らないようですが、いつかペンダントにでも加工しなおして、娘がこの家を離れるときに持たせてあげたいと思っています。たとえ世間的に評価される価値はなくても、若き日の父と母の思いに彩られた別格の価値を持った「すごい宝石」なのですから。
昨年の企画展示でご好評いただいたジュエリーシリーズ。
そのアレンジ版でちょっと華やかなラインを作ってみました。
もちろん主役は…ターコイズです。
「利用規約」をよくお読みの上、お約束を守ってご利用ください。
下の提供画像以外の画像のお持ち帰りは固くお断りいたします。
黒い背景用 | |
白い背景用 |
<<< 前の日 | 次の日 >>> |